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米菓づくりのこと

岩塚製菓の代表が音更大袖振大豆の産地を探訪。生産者・中川さんの想いを聞きました

香ばしく、噛むほどに甘みを楽しめる「音更大袖振大豆」。岩塚製菓の看板商品「大袖振豆もち」に不可欠な原材料です。北海道音更町で作られていますが、栽培の手間の多さなどから生産量は限られており、岩塚製菓は、町やJAと協力しあいながら原材料の確保に努めています。

大切な商品の重要な原材料についてより深く知るため、岩塚製菓株式会社代表取締役社長の槇大介が音更町で「音更大袖振大豆」を育てる中川猛さんの畑を訪れ、栽培の工夫、次の世代への想いなどをうかがいました。

(左右)大袖振大豆の生産者中川さんご夫妻 (中央)槇 大介 岩塚製菓株式会社 代表取締役社長

2代にわたり、半世紀近く作り続けてきた「音更大袖振大豆」

槇:中川さんの家では、いつから音更町で農業を営んでいるのですか?

中川:祖父が分家して農業を始めてから、今年で約80年になります。畑自体は私で3代目ですね。音更大袖振大豆を作り始めたのは父の代からなので、栽培を始めて半世紀近くです。私が物心ついたころには、身近に大袖振大豆がありました。

槇:昔と今で、栽培方法は何か変わりましたか?

中川:父の代では手押しの種まき機を使い、刈り取りも手作業でしたが、今は機械で収穫しています。私も10年ほど前までは、刈った大豆を「実」にして天日干ししていました。実は「音更大袖振大豆」は栽培の機械化が難しい品種なんですよ。

槇:どのようなところに栽培の難しさがあるのでしょう?

中川:枝が横に張るので倒れやすく、通常の栽培方法だと刈り取りがしづらいんです。倒れにくくするために、私のところでは肥料をほとんど入れずに株間を広く取っています。父からは「収量を確保するために肥料を入れた方がいい」と教わりましたが、今は当時よりも気温が高くなったので、肥料を入れると草丈ばかり伸びてしまうんです。十勝では小麦、豆類、てん菜、馬鈴しょなどを組み合わせた輪作を行っているので、前に育てた作物の残渣に含まれる養分も生かしています。

美味しく、町の誇りでもある「音更大袖振大豆」

槇:栽培方法を少しずつ変えているのですか?

中川:環境が変わっていっているので、それに合わせて変えています。気温の変化により成長の早さも変化しており、20年ほど前は10月中旬から11月くらいに収穫していたものが、今では9月下旬から10月初めごろに収穫できるようになりました。成長の具合は気候によって大きく異なるので、スマートフォンなどで気象情報を確認しながら、その年その時期の条件に合わせた栽培をしています。

槇:容易ではないにもかかわらず、なぜ「音更大袖振大豆」の生産を続けているのでしょうか?

中川:「音更大袖振大豆」には、他の品種にはない特別な魅力があると感じています。味も風味もとても優れているので、枝豆として食べても美味しいですし、自家製の味噌にもぴったりです。妻は豆乳にして毎日飲んでいます。豆自体がとても味わい深い品種なのです。さらには「音更」という地域の名前を冠していることからも大切にしたいと考えています。難しさはありますが、幸いにも栽培技術が身についてきたので「音更大袖振大豆」は絶対に作り続けようと思っています。

大袖ならではの青みと香りを、一番いい状態で届けたい

槇:美味しい「音更大袖振大豆」を生産するためにこだわっていることはありますか?

中川:生育だけでなく、収穫のタイミングを正確に見極めるようにしています。早すぎると未熟な味わいになってしまい、遅いと「青み」が抜けて、白っぽい豆になってしまいます。「音更大袖振大豆」はこの「青み」が抜けると特有の香りや味わいが弱くなってしまうのです。そのため収穫時期には一日に何度も畑に足を運び、豆の水分や色を確認します。「音更大袖振大豆」が最も美味しいと感じられるタイミングで収穫したいのです。

槇:私は「大袖振豆もち」の製造過程の大豆を試食することがあるのですが、やはり香りが違いますね。「大袖振豆もち」は岩塚製菓の代表的な商品の一つですから、この大豆なしでは成り立ちません。こうして大切に作り続けてくださっていることを、本当にありがたく感じます。

絶対に作ってほしい。「音更大袖振大豆」を次世代へつなぐ

槇:今後は、息子さんが農業を継ぐ予定だとうかがいました。

中川:小さいころから畑へ連れて行っていたので、自然と興味を持ったのでしょう。これから自分が主体となって作物を育てることを楽しみにしているようです。まずは一緒に作業をすることで経験を積み、自信を持って取り組めるようになってほしいと思います。

槇:「音更大袖振大豆」も、親子で守り継いでいただけるのでしょうか?

中川:間違いなく、息子には「音更大袖振大豆は絶対作ってほしい」と伝えるつもりです。やはり音更の町民として、町の名前がついた作物を残していきたい。そして何より、本当に美味しい大豆ですから、きちんと継承していきたいです。

消費者の喜ぶ姿をイメージできるから「もっといいものを作ろう」と思える

槇:大切に育てていただいた豆は丁寧に扱い、美味しい商品にしてお客様に届け続けていきます。

中川:そう言っていただけるのはありがたいです。私が農業を始めたころは、作物は出荷さえできればそれでいいと思っていました。しかし、長く携わるうちに自分が作ったものが最後にどこへ行くのかが気になるようになったんです。「音更大袖振大豆」については岩塚製菓のおかげで消費者の皆さんの喜ぶ姿をイメージできるようになりました。おかげで「もっといいものを作ろう」と感じられるようになったんです。これが自分の生産活動に良い影響を及ぼしていると感じています。これからもぜひ「音更大袖振大豆」の魅力を多くの方に広めてください。

槇:畑から工場、食卓までをいかにつないでいくか。私たちはこれからも真剣に考えていきたいと思います。今後とも、ともにお客様に美味しさをお届けするために力をあわせていきましょう。