Challenge

お米づくりのこと

岩塚製菓の「原点」に触れる体験を。自然栽培米10年目の取り組み

岩塚製菓は、本社のすぐ近くにある天神谷の田んぼで、化学肥料も農薬も一切使わない自然栽培米の生産を続けています。2017年に始まったこのプロジェクトは今年で10年目を迎えました。6月2日に行われた田植えは、多数のメディアも詰めかけ、大にぎわいのなかで行われました。当日の模様を紹介します。

気持ちの良い初夏の陽気のなかで田植え作業をスタート

田植えの当日は、うっすらと雲のかかる晴天日。2026年は5月後半から夏日が続出しましたが、この日は心地のよい風が吹く過ごしやすい陽気の日となりました。

岩塚製菓からは7名の新入社員が参加。6名は新潟県外の出身者で、ほとんどが田植えを初めて経験する社員でした。

今年は、稲を植える場所の目安を作る「型付け」から新入社員が挑戦。始めての作業に戸惑いながらも、しっかりと役目を果たしました。

田植えは岩塚製菓の原点に触れる体験

田んぼの管理・運営を担当している地元の農業法人有限会社ファームリンクルの皆さんや、栽培方針に関して多大なるご協力をいただいているJAえちご中越の関係者の皆さん、そして岩塚製菓の参加メンバーが揃うと、セレモニーが始まりました。

岩塚製菓からは槇春夫会長が挨拶。「自然栽培米を初めて口にしたときの衝撃は忘れられません。米そのものの力を引き出して育てられた米の美味しさに、生命の力を感じました。私たちが毎日製造している米菓の原料は米です。お米は私たちの原点であり、田植えは私たちの原点に触れる体験です。お米の加工業者として、農業に何か恩返しができないかとずっと考えてきました。そのため、こうして中山間地の農業を守り、日本の農村風景と自然を育む運動を続けられてきたことに喜びを感じています」と語りました。

またJAえちご中越の丸山健司代表理事専務は、令和の米騒動の反動について言及。岩塚製菓には引き続き連携の強化を期待していることが伝えられ、関係者には需要に応じた米生産と地域農業の継続への協力を呼びかけました。

栽培の主力となっている有限会社ファームリンクルからは前代表・内藤氏が登壇し、山の中で自然栽培を行うことの難しさを認めつつ、地域と一体となって農業を守ることの重要性を語りました。またファームリンクルの代表の交代が告げられ、新代表の宮森氏からも挨拶がありました。

肥料も農薬も使わない田んぼでは、人の力で稲を丈夫に育てる

田植え作業の前には、この日作付けを行う苗について説明がありました。昨年に引き続き、この田んぼでは「ポット苗」と呼ばれる、小さな専用のポット(容器)で育てられた苗を用います。通常、稲の苗はプレート状の苗床にまとめて種をまくため、苗は互いの根が絡まりあった状態で田んぼに持ち込まれます。そのため、田植えの際には、根を引き千切りながら植えることになるのです。しかし、ポット苗は容器ごとに種をまくため、根に傷がつかない状態で植えることが可能です。これにより、ポット苗は早く根を張ることができ、雑草に負けずに育つことができるのです。

ポット苗は田植え機を使わず、手植えをするからこそ可能な栽培方法。殺虫剤はもちろんのこと、除草剤も肥料も使わない自然栽培米を育てるためには、このような地道な工夫が欠かせません。自然栽培米は年々栽培が難しくなると言われていますが、このような手間を惜しまずないことで、毎年順調に収穫することができているのです。

手植えはやっぱり難しい!? 新入社員の活躍ぶりに、一同大盛り上がり

セレモニーとフォトセッションを終えると、いよいよみんなで田んぼへ入ります。先に型付けをしていた新入社員たちは、今度はスムーズに水田に入っていきました。しかし不慣れな体勢での田植えには悪戦苦闘。途中、ぬかるみから足が抜けなくなり、転倒しそうになるシーンも見られました。

幼少期に田植えをしていたという槇会長は、例年誰よりも早く植え付けを進めて行きます。この日も新入社員を気遣いながら、笑顔で作業を進めていました。

また今年はルーキーが大活躍。情報システム課に配属された社員が誰よりも早く植え付けを行っていました。東京都出身で「中学時代の体験授業でしか田植えをしたことがない」という社員でしたが、機械を操るように正確な位置に次々と苗を植え、この日の主戦力となっていました。

「未来につながる取り組みになってほしい」

田植えの後には囲み取材が行われ、槇会長のほか、参加した新入社員たちがカメラの前に立ちました。

テレビ局のレポーターに田植えの感想を聞かれた社員は笑顔で応答し「とても疲れましたが楽しかったです。米菓会社で働くうえで、製品の原料であるお米がどう育つのかを知る貴重な機会となりました。この経験は、国産米にこだわる自社製品への理解を深めるうえで非常に重要だと感じています」とコメント。

また、植えた苗は来年以降の種になることに触れ「未来へつながるお米に育ってほしい」と期待を口にしました。

マイクを向けられた槇会長は「『美味しいお米をどう作るか』は米菓作りの原点。原料である米作りへのこだわりは、創業以来の岩塚製菓の精神です。米菓は日本独自の食文化であり、岩塚製菓にはその伝統を守り伝える役割があります。新入社員には、この使命を胸に、日本の米菓の美味しさを世界へ広める人材になってほしいです」と新入社員にエールを送りました。

さらに「中山間地域の農業が継続するためには、お米に付加価値をつけていくことが重要。自然栽培米は都市部での評判が良いため、今後の需要拡大に期待を寄せています」と、生産者と力を合わせて農業の持続発展を目指していきたい旨を話しました。

中山間地での農業に光を当てる取り組み

この日は4社のテレビ局と2社の新聞社、1社のweb媒体の記者が訪れました。岩塚製菓の取り組みへの高い関心がうかがえます。

取材に訪れたレポーターに、ニュースとして伝えることの価値についてうかがうと「農業人口が減り、効率の良い栽培ができない中山間地は耕作放棄地が増えています。原料にこだわり、米作りの現場も大切に思っている岩塚製菓がこのような取り組みをしていることの価値は大きいと感じます」と話してくださいました。

あえて古くからの手法にこだわり、自然と徹底して向き合うことで、米作りの原点に触れる自然栽培米への取り組み。農業と会社の未来を育む、10年目の挑戦が始まります。