Challenge

#24 新潟県農業大学校の学生さんが
岩塚製菓の工場見学をしました


岩塚製菓は日本の農業の発展を目指して、新潟県農業大学校の学生さんとともに新たな挑戦をはじめています。
2024年春からは、猛暑にも強い品種「ゆきん子舞」の栽培を応援。そのスタートとして、学生さんが実習で栽培する「ゆきん子舞」を一部買い取ることとしました。
作付けに先駆けて、岩塚製菓がどのようなこだわりをもって米菓作りをしているかを学生さんに知ってもらうために工場見学を実施し、美味しいおせんべいが作られる工程を実際に見ていただきました。

岩塚製菓の米菓作りにかける想いを伝える

工場見学にお越しいただいたのは、教員2名と学生6名。学生さんは稲作経営科の1年生で、将来はお米づくりに携わることを期待されています。

座学に臨む新潟県農業大学校の皆さん

まずは座学で岩塚製菓が大切にしている「農作物の加工品は、原材料よりよいものはできない。だからよい原料を使用しなくてはならない。ただし、よい原料からまずい加工品もできる。だから加工技術はしっかり身につけなければならない。いくら加工技術を身につけても、悪い原料からよいものはできない」といった考え方や、日本のお米を使うことへのこだわり、創業の経緯を説明。岩塚製菓が、地域とともに発展してきたことを知っていただきました。

さらには、丸粒米を使って作っている岩塚製菓のおせんべいは風味豊かで、お米本来の美味しさを味わえることも解説し、農家の皆さんが大切に育てたお米を丁寧に加工していることをお伝えしました。

近年では、持続可能性のある農業を支援し、ともに発展していくために自然栽培米の育成に挑戦していることや、お米の研ぎ汁の再利用に取り組んでいることも紹介。学生の皆さんは、将来の仕事に関連するかもしれない岩塚製菓の取り組みについて、真剣に聞いてくださいました。

学生さんからの質問

Q1. 外国産のお米の導入を考えたことはありますか?日本のお米にこだわる理由はなんですか?

A. 食糧管理法が改正される1981年までは、一部の商品に外国産米を使っていたことがありました。お米は国から配給されるもので、自由に売り買いすることができなかったためです。
しかし近年では外国産のお米は使用しておらず、また導入を検討したこともありません。日本のお米はコストが高い(外国産15万円、国産米23万円/1tあたり)ので、経営的にはリスクもありますが「よい原料からしかよいものはできない」という精神のもと、原材料にはこだわり続けていす。
消費者の皆様の中には「おせんべいは日本のお米で当然作られている」と思っている方が少なくありません。岩塚製菓はこの期待を裏切ることはできないと考えています。

Q2. 新潟県農業大学校では岩塚製菓に納入する「ゆきん子舞」の作付けを進めていくことになりましたが、今後うるち米に関しても何か地域に働きかけをするのですか?

A. 日本のお米の生産量は800万t。もち米は30万t。もち米は生産量が少なく買付にはリスクがありますが、ゆくゆくは、うるち米の作付けに関しても何かしらの働きかけをしたいと考えています。
自然栽培米の試験的な栽培はすでに8年目に入っており、将来は地域で無農薬のお米づくりができるよう研究を進めています。今後は猛暑にも耐え、収量も多い品種の作付けなどにも協力していく予定です。

美味しいおせんべいはどうやってできている?お米を大切に加工している様子を紹介

お昼休憩を挟んで、いよいよ工場見学です。

ユニフォームの塵を取り除き、30秒の手洗いで手を清潔にします

見学といえど、実際に稼働している工場に入っていただくので衛生への気配りや異物混入の対策は万全に行ないました。

原材料には丸粒のお米を使っています

「岩塚の黒豆せんべい」の製造ラインでは、実際の原材料であるお米を目や匂いで確かめ、加工の第一歩である浸漬の様子を見学。蒸したてのもちもちの生地やほくほく食感の黒豆をご試食いただきました。

原料がいいので、蒸しただけで美味しいお団子になります
生地の食感に合わせて、粒度を変えてお米を製粉しています
成形された「岩塚の黒豆せんべい」の生地が運ばれていきます

おせんべいの生地は成形後、保冷・乾燥を経て焼成します。昔は何日もかけて行なっていた乾燥の工程ですが、技術の進歩により時間が大幅に短縮され、効率的な生産ができるようになりました。
焼成の機械のまわりは非常に温度が高いため、学生さんが足早に通り過ぎる場面も。

こんがりと焼き上がったおせんべい

調味油をかけて味付けされたおせんべいは、1枚ずつカメラでチェックし、基準を満たしているかを確認します。かつては人の力で行っていた工程ですが、オートメーション化で効率も精度も大きく向上しました。

真剣に話を聞きながら見学をする新潟県農業大学校の皆さん

杵と臼で餅をつく。味や風味だけでなく、食感にもこだわりを

さらに、新工場にもご案内。新工場の2階には、新たな製品開発のための実験が日々行われているBEIKA Labもあります。

新工場ではもち米を使った商品を製造しています。岩塚製菓では、そのときどきで入手できるもち米の国内産地やブランドをアレンジ。品質やコストを一定に保つために調整を重ねています。この日は「たつこもち」と「ゆきみらい」が使用されていました。

水に浸す工程が「浸漬」です。お米が水を吸いふっくらとしていきます

うるち米と同じように浸漬の過程からご覧いただきます。岩塚製菓は工場の近くの井戸水を使っているため、年間を通じて水温は一定に保たれていますが、どうしても外気の影響を受けるために、様子をみながら時間を調整する必要があります。

丸粒のままお米を蒸すと、おこわができあがります。蒸したてのおこわは噛めば噛むほど甘みが滲み出してきます。
もち米を加工する際にはお米を練る場合もありますが、食感にこだわる岩塚製菓は杵で餅をつきます。お米の状態を見て、つく回数を見極め調節し、「田舎のおかき」の食感を生み出すためのコシのあるお餅を作っています。

蒸したてのもち米。まだ弾力は強くありません
杵と臼で餅をつきます
乾燥・切断後、窯入れするために並べられた「田舎のおかき」の生地
「田舎のおかき」が「外はカリッと、中はほろほろ」な食感になる秘密もご紹介

できあがった餅生地は冷却・乾燥させ切断します。
その後、ふっくら仕上げるための特別な加工を生地に施して焼成すると、皆様がご存知の美味しい「田舎のおかき」ができあがるのです。

機械で重さを測り、パッケージングが行われます

その後、最終工程である袋詰と検査の過程までご確認いただき、工場見学は終了。岩塚製菓の商品づくりへのこだわりをほぼ丸1日にわたり学んでいただきました。

ご参加された学生さんの感想

・普段食べているおせんべいが作られている様子がわかり感動した。一番好きな「ふわっと」が作られているところも少しだけ見えて、「本当にここでできるんだ」と感激した。

・岩塚製菓のおせんべいは普段から農作業の合間に食べている。その工程を見られて良かった。おかきは餅にしたあとに乾燥・成形・焼成と多数の工程を経て作られていることを初めて知った。

・おせんべいは手間と時間をかけて作る菓子なのだと知った。レーザーを使ってせんべいの中身の密度を確かめているところを見て、現代はそのような機械を使うことも必要なのだと驚いた。

・1枚ずつ機械でおせんべいの写真を撮っていたことに驚いた。異物混入は許されない。製造には大きな責任が伴うのだと知った。最新テクノロジーを取り入れたものづくりを見られた。

・岩塚製菓が手間をかけて加工しているところ見て、米づくりを頑張りたいと思えた。工場のなかにはとても暑いところがあり見学だけでも大変だったが、働いている人は平気そうだったので驚いた。

・岩塚製菓の商品への愛情を感じられた。「岩塚の黒豆せんべい」は米だけでなく、大豆の浸漬時間も非常に長いのが驚きだった。いい原料を使って作られているので、加工途中の状態でも美味しかった。

岩塚製菓の米菓作りにかける思いが学生さんにも伝わったようです。未来の農業を担う皆さんにとって、一層のやりがいを感じてもらえる機会となれば、これほど嬉しいことはありません。岩塚製菓はこれからも「お米となかよし」な企業として、心を込めておせんべいを作っていきます。