Challenge

#35
お米づくりのこと
自然栽培米9年目の田植えを行いました
2025年6月3日(火)、自然栽培米9年目の田植えを行いました。今年は新入社員5名と社長の槇も参加しました。雨が降るなか、小さなポットの中で育てた苗を一つずつ手植えで作付け。美味しいお米になるよう願いを込めました。

岩塚製菓がJAえちご中越や地元の農業法人有限会社ファームリンクルと協力し、肥料や薬剤をまったく使わず自然の力だけで稲を育てる「自然栽培米」を育てはじめたのは2017年のこと。岩塚製菓飯塚工場の裏手に位置する天神谷で究極のお米を求めたプロジェクトとしてスタートしました。
自然栽培は無農薬・無肥料でその土地本来の力のみで育てるため、通常年を重ねるほどに栽培が難しくなります。しかしこのプロジェクトでは栽培方法や作付け方法を工夫しながら、また人力で除草を行うなど手数をかけながら大切に稲を育て、毎年質の高いお米を生産してきました。

田植えに先立ち、集まった関係者とセレモニーを開催。各団体の代表が、自然栽培米への想いを述べました。
岩塚製菓社長の槇は「岩塚製菓は『お米となかよし』を掲げている企業。原材料である大切なお米作りに携われる意義は大きいです。雨が降るなかではありますが、豊作を祈りこの機会を楽しんでいきましょう」と挨拶。
続いてJAえちご中越の丸山健司代表理事専務は「すでに平地での田植えは99%が完了しました。5月の日照不足により今のところは少し稲に元気がない状況ですが、みんなで頑張って良いお米を育てていきます。天神谷で稲が元気に育てば、豊作の祈念になることでしょう。一緒に頑張りましょう」と続きました。

新聞やテレビ局などのマスメディアが見守るなか、ぬかるんだ圃場に足を入れ、身体を動かしました。


2024年度から自然栽培米の幼苗は、小さなポットのなかに数粒ずつ種を蒔いて育てています。これにより根を切ることなく田植えをすることができ、田植え後の稲の生育が早くなります。
自然栽培は除草剤を使用しないため、雑草に負けないよう、少しでも稲に有利な生育環境を用意する必要があります。
今年手植えで植えた苗は、来年の種籾として使用するため、今年の手植えは特に重要な取り組みです。

参加した新入社員は「『美味しい』と自信を持って売れる商品があるから岩塚製菓で働くことにしました。今後も誇りをもって働けるように意義のある活動をしていきたい」「いろいろなことに挑戦してみたいから、チャレンジ精神旺盛な岩塚製菓に入社しました。たくさんの経験や挑戦を積み重ねていきたい」と話します。
また実家が兼業農家だという新潟出身の新入社員は「田植え機を使って作付けを手伝ったことはありますが、手植えは初めて。豊作となるよう頑張りたい」と気合いを語ってくれました。


昨今は、全国各地でお米の高騰や品不足が話題になっています。JAえちご中越の社員は「現代の農業は平地で大規模な栽培をすることで効率をあげてきました。天神谷のような小さく歪な形の圃場は整備に手間と資金がかかることから、効率的に安価な作物を育てることはできません。しかしこのように質だけでなく栽培方法にもこだわった付加価値の高い米を作ることはユニークで重要な取り組みだと思います」と話してくれました。
また新潟大学で社会人大学院の講義を受け持ち、経営学の観点から自然栽培米に取り組むことを後押しした長尾雅信准教授(現:共立女子大学 ビジネス学部 准教授)は、昨今のお米の高騰や品不足に関連する騒動に関して「消費者と生産者の距離が遠くなりすぎてしまったことも今年の米騒動の一因。生産の場を理解し、現場に思いを馳せることが大切だと思います。加工業者という一次生産者と消費者の間に立つ岩塚製菓がこのような取り組みを続けていることの意義は大きい」と語りました。

たくさんの人の思いと願いが込められた、2025年の自然栽培米。果たしてどのように育つのでしょうか。
今年の収穫を楽しみに待ちたいと思います。